「年金離婚」増える、分割請求1000件超

離婚時に厚生年金や共済年金を分割する制度が４月にスタートして２カ月で、請求が１０００件を超えたことが、６月３０日までに分かった。女性からの 請求が７割を超えている。「年金分割待ちの女性が４月まで離婚を控えている」との観測が裏打ちされた形で、今年４月の離婚件数も昨年同月比で１３４９組、 ６・１％増加し、それまでの減少傾向からプラスに転じている。

　妻からの“三くだり半”が、現実となった。４月から始まった離婚時の年金分割請求制度で、請求件数が４月２９３件、５月７０９件、計１００２件と１０００件を超えたことが社会保険庁の調査で分かった。うち男性は２７４件。女性が７２８件で７割を超えている。

　同制度は、４月１日以降に離婚した場合、当事者の一方からの請求で、結婚していた間の保険料納付記録を当事者間で分割できるというもの。都道府県別の最多は東京都で１２１件、次いで大阪府の１０６件、愛知県８８件などで、山形、島根、沖縄の３県は請求がなかった。

　年金分割に関する相談件数も、３月の７１８８件が４月には１万１９５７件と急増。５月に来訪相談した６５００件をみると、男性１１４６件に対し、女性は５３５４件と５倍近くになっている。

　同制度の運用開始に合わせるように、今年３月まで前年同月比マイナスだった離婚件数が、４月は０６年４月の２万２００６組から２万３３５５組へと １３４９組、６・１％増加した。今年３月まで離婚件数が少なかったのは「年金分割待ちの女性が多く、４月まで離婚を控えている」との観測があったが、これ が裏打ちされた形だ。

　離婚件数は０２年の２８万９８３６組をピークに年々減少し、０６年は２５万７４８４組まで減っていたが、制度スタートで０７年は増加に転じる可能 性がある。離婚コンサルタント池内ひろ美氏は「もともと熟年離婚の９５％が、妻からの申し出。年金分割制度スタート後、離婚に踏み切った例は多いと思う。 実際、私のもとにも最近、４月まで待って離婚調停を開始したという相談者が目立っている。４月から離婚の話し合いを始めた夫婦も多く、今後も離婚件数は増 えると思う」と指摘している。

［2007年7月1日9時8分　日刊スポーツ］

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